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メルマガ 子育て情報 「食物アレルギーのはなし」

 今日は食物アレルギーの予防に関する話題を一つ。

 

 卵や牛乳など食物に対してアレルギーを持つお子さんの割合は1歳で5%前後と言われています。原因となる食べ物を摂取すると、じんましんや嘔吐・下痢、咳などが出現し、ひどい場合には命の危険にさらされる場合もあります。これまで、食物アレルギーを予防する目的で、「赤ちゃんに卵や牛乳を与えない」、「妊娠中・授乳中にお母さんが卵や牛乳を避ける」など、アレルギーの原因となりやすい食物を除去する方法が幾つも試みられてきましたが、結局効果は認められませんでした。

 

 でも、最近興味深い論文が発表されました。英国で湿疹のある生後数ヵ月の赤ちゃんを対象に、①ピーナッツ製品を食べ続ける、②完全に除去する、の2グループに分けて5年間経過を追ったところ、食べ続けた方がピーナッツアレルギーがずっと少なかったのです。卵に関しても同様の結果が得られており、こちらは最近ニュースでも報道されていたので聞かれた方もおられるかもしれません。全ての食品に当てはまるかどうかは不明ですが、軽いアトピーがあるからといってむやみに卵や牛乳を除去してはいけないという事を示しています。

 

 ただし、既にはっきりとした食物アレルギー症状の経験があるお子さんや、アレルギー検査の数値が非常に高い場合にその食べ物を与えるのは危険です。くれぐれもそこはお間違えなく…。

(エコチル京都UC・小児科医/八角 玲子)

2017年1月23日配信