2022.10.31
観客になる
近ごろ、「子どもたちの学校行事が久しぶりに復活した」という話題を耳にするようになりました。
先日、私も中学3年生の息子の合唱コンクール鑑賞のために、近くのホールを訪ねました。
息子のクラスだけみて帰ろうかな、最初はそんなふうに思っていました。
しかし、曲目紹介のパンフレットに目をやると、次のクラスの伴奏者に見覚えのある名前が。
ああ、小学生の時に息子と同じクラスだった、あの子だ。
中学生になってしばらく見ないうちに、すっかりお姉さんになって‥‥。
立派に伴奏を務め、最後にお辞儀して上げた顔には、少し昔の面影がありました。
そういえば、ここはエコチルフェスタでお世話になったホールでもあり、エコチルスタッフの私は利用者として裏方を経験したこともあります。
出演者や運営側は、昼休みも幕間も、それなりに忙しいものです。
伴奏担当の生徒は、きっと今日初めてピアノの試奏をしたんだろうなぁ。
学校のピアノとの違いやペダルの響きにドキドキしたり、高級ピアノでも意外に同じでなんともないぞ!とホッとしたり。
いろいろあっての本番です。
そう思うと、もう少し観客でいようと、気持ちが傾きました。
楽譜をめくるタイミングで少し止まってしまったり、リードが早くなってしまったり‥‥‥
我が子の伴奏でもないのに、こちらがドキドキしてしまいます。
合唱メンバーも、この日ばかりはマスクを外して舞台に上がるのですが、どこかで見たぞ!と思う顔がチラホラと。
中学生になってから、「○○くんのおばちゃん!」と声をかけてくれなくなって、3年。
登下校中のマスク姿では、何となくのシルエットでしか全体像を把握できていなかった息子の同級生たちも、逆光の客席からであれば、眺めたい放題。
ジッと正面から見つめても「変なおばさん」にはなりません。
「あれは、あの子かもしれない。」
「あの子はお兄ちゃんに似てきたなぁ~。」
そんなふうに時を過ごし、結局最後のクラスまで鑑賞してしまいました。
思えばこの3年、子どもたちはずっと無観客のコンクールを経験してきました。
思春期の気持ちの揺れが大きい時期に、大きなホールでピアノを弾いたり、観客の前で歌うことは、それぞれの心にハードルがあったことでしょう。
少しずつ日常が戻る今日このごろ。
13歳から始まる中学校生活を通し、子どもたちはそれまでにも増して心も体も大きな変化を遂げるようです。
「たくさんの保護者」のひとりとして、初めて観客の一員になれたような、そんな一日でした。
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エコチル調査コアセンターより、エコチル調査の継続(13歳以降の調査)についてのお知らせが公開されています。どうぞご覧ください。
https://www.nies.go.jp/jecs/news/20220419.html
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<2022年10月31日 リサーチコーディネーターMK>