今年はインフルエンザの流行が続き、私の病院にはゴールデンウィーク中にも何人も来院されました。当院でも例の、鼻に棒を入れる痛い検査をしています。「検査をお願いします!」と、意気込んで来られるご両親がいらっしゃいますが、子供達が少し気の毒になるときがあります。というのも、あの検査、どのメーカーも95%以上の正確さをうたっていますが、検査する側の技量の問題かもしれませんが、なかなかそこまでいかない印象です。
お兄ちゃんがインフルエンザになっていて弟も高熱!・・なのに検査では陰性(インフルエンザではない!)のことがあります。本当は陽性なのに、検査では陰性と判定してしまうことを偽陰性と言いますが、発熱直後にはしばしば見られます。また偽陽性と言って、その疾患にかかっていない人でも検査で陽性になることもあります。100人に1人もインフルエンザ患者がいない時期に検査で陽性が出た時、少し偽陽性についても考える必要がありそうです。
今年の2月、千葉市が公式サイト上で「救急診療所でインフルエンザ流行期に迅速検査を行わない」との立場を発表しました。診療を速やかに行うために、私は賢明な判断だと思いました。
検査は絶対的なものではなく、1つの判断材料に過ぎません。検査に頼らない医療は、医師の総合的判断と、患者様のご理解、相互の信頼関係が大切だと思います。
(エコチル京都UC・学研都市病院小児科医/渡部 基信)
2017年5月15日配信