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ニャンダーかめんとコタツ

今年亡くなられた偉大な漫画家、やなせたかしさんの代表作といえばもちろんアンパンマンですが、『ニャニがニャンだーニャンダーかめん』という隠れた名作があるのをご存知ですか?

高校生のうちの息子が保育園に通っていたころ、4歳ごろですからもう10年以上も前になりますが、息子は「ニャンダーかめん」に夢中になっていました。  

主人公はニャーゴ。 普段は気弱で鈍くさい小学生(ネコですが^^;)が、「助けて~!」という声が聞こえてくると、ランドセルから変身キットが飛び出して、「ニャニがニャンだーニャンダーかめん!」と言って、ヒーローに変身してしまい、 どんな人でも助けに行くお話です。 どこへでも飛んで行ってひたすら助けることのみで問題を解決し、アンパンマンのアンパンチのようなものが必要のない物語。

我が家のお気に入りの、ワクワクもほっこりもさせてくれる、素敵なアニメでした。 そもそもいじわるや暴力をなすバイキンマンのような存在が設定されておらず、 ただ非常に人間臭くておもしろかったのは 「ニャオン」という名誉欲と功名心が強くてしばしばズッコケてしまう憎めない存在でした。  

それで、4歳の息子が、クリスマスには 「どうしてもニャンダーかめんがほしい、ニャンダーかめん以外にほしいものはない」 と言いました。アンパンマンの商品ならどこにでもあふれるように売られていましたが、マイナーなニャンダーかめんは普通に探しても見つからず、フルタイムの仕事で共働き、毎日おもちゃ探しをするわけにもいかず、 (今でこそネット通販で何とでもなりそうですが、) 田舎のおじいちゃんおばあちゃんに頼みました。 なんとか、希少なニャンダーかめんのぬいぐるみを買って送ってくれて、それは相当な骨折りだったので、「おじいちゃんとおばあちゃんからのプレゼント」として渡しました。 息子はものすごく喜んで、お礼も言いました。 それでホッとして、24日の晩の枕元におくプレゼントとしては、 お菓子の入った長ぐつのいちばん大きいヤツを選びました。  

25日の朝、目覚めた息子は枕元の特大の長ぐつを喜びましたが、「あれ、ない。ニャンダーかめんは『サンタさんに』お願いしたんだよ。」 と言いました。 ドキンとしました。「ああ、そっか、この中ね。」といって、息子は長ぐつのひもをほどき、 1こずつお菓子をとりだしました。 親としては、このピンチ、 息子が1個ずつお菓子を手に取り、横において、・・・を繰り返すのを 固唾をのんで見つめるだけ、 どうすることも、言葉を発することもできませんでした。  長ぐつのつま先の奥に詰まっている最後の1個のお菓子を取り出したとき、「あー!」と思うも、それは声になりませんでした。 ニャンダーかめんのキャラクターマスコットが ラムネ菓子1個におまけでついている箱でした。 それも大当たり! あこがれの「ニャンダーかめん」そのものでした。  

それは田舎から送られてきたでっかいぬいぐるみの10分の1ぐらいの大きさの、 小さい小さい、手のひらサイズのヒーローでした。  息子は、当然サンタさんは届けてくれたというように、ちょっと遠くを眺めるようにして「ありがとう」と言いました。  
そんな息子でも、サンタの秘密を知る日がきます。 思春期に入りかけて親子関係も難しくなってきた小学5年のクリスマスでした。その頃、息子とは衝突してばかりでしたが、おもちゃの整理をしてもどうしても捨てられなかった この「ニャンダーかめん」を手渡して、話をしました。  
「でもね、君には、本当にサンタがいるんだよ。」 
親も子も変化は絶え間なく、いつの間にか息子の方が背も高くなり、「ねえ、母さん、ちょっとコーヒー淹れてよ」なんて言うようになりました。 居間のコタツで息子と一緒にコーヒーを飲む幸せ。「僕の部屋にも小さいコタツがほしいなあ。この冬はコタツで勉強したいなあ。」と先週言い出しました。君もコタツ派ですか。。。お母さん似だね。。。^-^  
クリスマス・イブ・イブ、息子の外出中にホームセンターでコタツを買い、サプライズのセッティング。そのコタツの上に、懐かしいニャンダーかめんを取り出してみて、写真におさめました。  
夕食直前に帰宅して部屋に入った息子がなかなか出てこない。 ご飯だよ、と呼びに行くと、息子はニヤけて、「コタツムリ」になっていました。  
すべての子どもたちの願いがサンタに届きますように。サンタの想いがすべての子どもたちに届きますように。メリークリスマス‼  
(M.E. 20131225)