普段あまり意識することはないかもしれませんが、私たち人間も動物の一種です。そこで今日は、人間と他の動物の子育てを比べてみたいと思います。
人間の子育ての大きな特徴は、お母さん、お父さんに加えて、おばあちゃん、おじいちゃん、兄弟姉妹、親戚、さらにはお隣さんや地域のコミュニティーまで、「みんなで子どもの世話をする」という点です。このような子育ては、人類の進化の歴史の中でも重要な役割を果たしてきました。
一方、他の動物では、これほどまでに協同的なシステムあまり見られません。一部の生物(鳥や南米のサル、アフリカの魚など)を除いては、両親がともに子育てを行うということも珍しく、哺乳類では雌親のみが子どもの世話を担う場合が多いです。
ここから分かることは、人間の子育てには負担が多く(もちろん喜びも多い)、みんなで助け合う必要があるということです。現代では生活スタイルも多様化し、祖父母とは離れて暮らしている、気軽に相談に乗ってくれる人が近所に居ない、といった状況も多いと思います。このような状況だからこそ、子育てをサポートする体制の整備や、そのための科学的な知見の蓄積が求められています。京都ユニットセンターでは、エコチル調査の主題である「化学物質や環境因子と健康や発達との関係」に加えて、さまざまな視点から幅広く研究を進めています。
(エコチル京都UC・研究員/森田 理仁)
2017年3月20日配信