皆さん、こんにちは。
私はエコチル調査に携わる前は、生物学の視点から少子化の研究をしていました。生き物にとっての最重要ミッションは、いかにうまく生き残り、いかに多くの子孫を残すかということです(注)。この点から見ると、生存率が向上し、資源も豊富になった現代社会で起こっている少子化は、とても不思議な現象です。
なぜ少子化が起こるのか?という問いに迫る研究は数多くありますが、簡単にまとめると、(1)子育てに伴う負担が増加したこと、(2)子どもをもつこと以外にも魅力的な選択肢が多くなったこと、の2つが大きな要因です。核家族化が進んで祖父母や周囲からのサポートが得にくい、学校や習い事に通わせるためにはお金がかかる、自分自身のキャリアや趣味を優先したい、などなど、事情や生き方はさまざまです。
今では少子化「対策」も実施されていますが、皆が皆ではなく、子どもをもちたいと希望する人がその願いを無理なく叶えられる社会になれば良いなと、個人的には思っています。エコチル調査から得られる研究成果も、将来きっとそのための一助となります。
(注)生物学的にそう「である」といっても、社会的にである「べき」や「好ましい」ということではありません。また、人間は特殊な生物であるということにも注意が必要です。
(エコチル京都UC・研究員/森田 理仁)
20170919配信