最近、発達心理の専門家の間では、人間の心の発達における「愛着(アタッチメント)」の重要性が再認識されているそうです。
「愛着」とは、赤ちゃんが特定の大人(多くは親)に接近してくっつくことで、「愛着行動」とは、不安な時に親を求める行動です。
赤ちゃんは自分で動けるようになると、探索心を持って行動するようになります。親の腕の中・膝の上という「安全基地」から自ら離れていって外界を探索します。不安になったら「安全基地」に戻り、安心を回復させます。そして、また探索に出かけます。これを繰り返す中で、子どもの心の中に「親:安全基地」が内在化されて、実際に基地に戻らなくても、心に安全基地を感じるだけで、安心を回復させられるようになっていきます。子どもの中に「安全基地」が内在化されることを「愛着形成」と呼ぶそうです。これは生後数年かけて築かれます。
この「愛着形成」が、「その子の後の人生の『対人関係の基本』『共感性の育ちの基本』『情動コントロールの基盤』『傷つきからの防波堤のもと』『悪い行動の歯止めのもと』になる」と、発達心理の専門家は言っています。
「安心感」は、親が子どもに与えられる最高のプレゼントかもしれませんね。
(エコチル京都UC・小児科医/ 宮嶋 智子)
2016年8月18日配信