今から2か月程前、関西国際空港の職員さんを中心に麻疹の流行がありました。そのためMRワクチン(麻疹・風疹ワクチン)が、一時的に病院でも手に入らないほど品薄になりました。今回はこのMRワクチンの話を少し。
2013年には全国規模で風疹の流行があり、その多くは30代男性が中心でした。理由は、その年代は女性だけが風疹ワクチンの定期接種対象であったことなどが挙げられます。ワクチンは個人の感染予防と同時に、多くの人が接種を受けることにより感染症のまん延を防止する『集団免疫』の意義もあるのです。
「私は麻疹や風疹にかかったから、予防注射をしていません」という話を聞くことがあります。確かに病気になれば免疫は獲得できるとは思いますが、本当に病気になったかどうかが疑問です。熱が出て発疹が出る病気は麻疹・風疹だけではありません。数えられないほどあります。しかも麻疹・風疹の発生数も減っているので、実際に病気になる可能性は低い。母子手帳を見て、未接種の方はMRワクチンをお勧めします。ただし、成人女性は接種前後避妊が必要です。
(エコチル京都UC・学研都市病院小児科医/渡部 基信)
2016年11月21日配信