今日は風疹ワクチンのお話です。このコラムを読まれているお母さんの中には、中学生時代に女の子だけで風疹ワクチンの接種を受けたことを覚えておられる方がいらっしゃると思います。でも今は、麻疹・風疹の混合ワクチンとして男女ともに接種されますよね。どうして変更になったのでしょうか?
一般的に、風疹は軽い病気です。ただし妊娠初期の女性が風疹にかかると、胎児が風疹ウィルスに感染し、難聴、心疾患、白内障、精神運動発達遅滞などをもった、先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれてくる可能性があります。以前はこれを予防する目的で、中学生の女の子だけにワクチン接種が行われていました。
しかし、当然小さな子供の風疹の流行は防げませんし、大人の男性の間でも流行することがありました。その上、風疹が流行すると、先天性風疹症候群の赤ちゃんが増えることが確認されたのです。お母さんは無症状でもウィルスが体に入っていることはあり、胎児を守れないことも判明しました。
つまり、先天性風疹症候群を予防するためには、そもそも風疹の流行を防ぐ必要があるということで、現在では男女とも2回のワクチン接種が行われているのです。ワクチンの目的が、接種をうけた本人だけを守るものではないことが判る良い例ですね。
(エコチル京都UC・小児科医/八角 玲子)
20180122配信