みなさま、コロナ禍の最中、いかがお過ごしでしょうか。こんな大変なときこそ、お互いに他者を思いやる心が大切ですね。別のことばで言い換えれば、他者に共感する心が大切と言ってもいいかもしれません。
思いやりと共感は、全く同じものかどうかは議論のあるところですが、両者は密接に結びついたものであることは容易に想像できますよね。
共感は、一般的には、他者の心を理解し、他者の感情を共有し、他者の直面している困難を取り除きたいと感じる能力と考えられています。
では、共感の始まりはどこからなのでしょうか?
情動的感染(伝染)という言葉を聞いたことがありますか?
近年の発達科学では、原初的な共感はこの情動的感染がベースになっているとしています。
ほら、赤ちゃんが他の赤ちゃんの泣き声を聴くと泣いてしまうという、あれです。感染ということばは、奇異に思えるかもしれませんが、分かりやすい例だとあくびがあります。
このような、情動的感染は、生得的だという考え方もありますが、生後の学習によるものだという主張もあります。後者は、養育者が赤ちゃんの情動表出をまねることが情動的感染を形成するための重要な初期経験だと考えます。
これらの2つの主張は、まだ決着がついていませんが、やはりお母さんとのインタラクションも大事なのかもしれませんね。
(同志社大学赤ちゃん学研究センター長 板倉昭二)
20200717更新