オフィスの壁などで見かける三穴のコンセント、見ていると顔に見えてきますよね?
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:JPAC100V15AET.svg
本来別のものなのに顔に見える現象はフェイスパレイドリアと呼ばれ、身も蓋もなく言ってしまえば勘違いです。
でも単なる勘違いとちょっと違うのは、違う!と気づいても、その感じ方を消し去ることができないところです。
誤解が解消したなら正しく感じてもいいはずなのにそうならないのは、「顔」のような大事な刺激に対して僕たちは特別敏感な仕組みを持っているからだと考えられます。
では赤ちゃんもフェイスパレイドリアを感じるのでしょうか。もしそうだとしたら生後何か月で感じるのでしょう。
そこで、調べました。
赤ちゃんに顔っぽいけど顔じゃない画像を見せながら音を鳴らしたところ、なんと生後10か月と12か月の赤ちゃんは顔っぽい画像の口に相当するところをじっと見つめたのです。
音が出ていない時や生後8か月の赤ちゃんにはそのような視線の偏りは見られませんでした。
このことは人は生後10か月にはすでに、顔には口があってそこから音が出るものだという「概念」を獲得していることも示唆しています。
なにより赤ちゃんも大人と同じように顔じゃないものを見て「顔!」って勘違いしているのだということになります。
そう思うとなんだか楽しい気分になりますね!
(同志社大学赤ちゃん学研究センター・准教授/加藤 正晴)
2021年7月23日更新