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メルマガ・子育て情報「ウソは子どもの発達にとって重要」

先日、NHKのヒューマニエンスという番組制作のための取材を受けました。テーマは子どものウソについてです。子どもはいつ頃からウソをつき始めるのか、ウソにはどんな種類のものがあるのか、といったことを問題として、実際に当センターで先行研究に基づいて実験を行いました。

 

参考にしたのは、私の20年来の大親友であるカナダ・トロント大学Kang Lee(カン・リー)教授の研究です。実験の詳細は字数の制限もあり述べませんが、子どもは2歳くらいからウソをつくようになります。個人差はありますが、ある実験パラダイムですと、2歳児の30%が嘘をつくということです。教育場面では、ウソはいけないというように定型化された解釈がなされていますし、私たちも道徳教育の中でそのように教わってきました。もちろん、誰かを傷つけるようなウソはいけませんが、ウソをつくことができるということは、子どもの発達の中でも重要なことなのです。Kangの研究では、2歳でウソをつける子どもは、他者の心の状態を推測するのに長けているとか、自分を制御する能力が高いといったことが報告されています。

 

またKangは講演で、もし自分の子どもが、2歳の時にウソをついたら叱るのではなく、お祝いをしましょう、と半分冗談、半分本気で語っています。子どものウソの話は奥が深いので、いつかまたお話ししたいと思います。

 

(同志社大学赤ちゃん学研究センター長/板倉 昭二)

 

2022年3月18日更新