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メルマガ・子育て情報「遺伝と環境 」

以前、遺伝情報から病気の原因や将来の病気の予測が少しずつできるようになってきたというお話がありましたが、今回は遺伝と環境のお話をします。私たちの心や行動は遺伝と環境のどちらにより影響を受けるのでしょうか?これを調べるには双子を比べるという方法がよく使われます。双子には一卵性と二卵性の二種類があります。一卵性は双子間で遺伝情報が同じなので、双子間の類似性は同じ遺伝情報をもつことにより決まる部分と同じ養育環境(共有環境)で育ったことにより決まる部分に分けることができます(類似性=遺伝に基づく類似性x+共有環境に基づく類似性y)。一方で二卵性双生児は平均して遺伝子的には半分だけ同じなので(類似性=遺伝に基づく類似性x/2+共有環境に基づく類似性y)と表せます。

 

この方法を使い慶應義塾大学の安藤寿康先生が研究を進めておられます。その研究結果によれば、小学生の学業成績はおおよそ30%~50%が遺伝の影響を受けるそうです。学業以外も含めると心や行動における遺伝と環境の影響はおおよそ半々程度だそうです。ただし環境といっても、学校や友人関係といった双子間で共有していない環境(非共有環境)が彼らの心や行動に大きく影響していることも示されています。とても興味深いですね。詳しくはこちらの安藤先生の講演をご覧ください。https://kodomogakkai.jp/cafe2-1.html

 

(同志社大学赤ちゃん学研究センター・准教授/加藤 正晴)

 

2022年8月26日更新