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メルマガ・子育て情報「出産・育児の都市化」

国立社会保障・人口問題研究所の岩澤美帆先生の資料を見て知ったのですが、出産・育児の都市化が徐々に進行しているようです。日本の2021年の出生児のうち、3割の子どもが首都圏の4都県(東京・神奈川・千葉・埼玉)で生まれており、さらに愛知・大阪・兵庫・福岡を足すと約半分の子どもたちが(47都道府県のうちの)これら8都府県で生まれています。厚生労働省の人口動態統計を基に、都道府県ごとの年間出生の割合が戦後70年でどのように変化しているのか調べてみました。1950年時点では、北海道が占める割合は東京都と同じ6.3%でした。しかし、2021年時点では3.5%に減っており、一方、東京都は11.8%に増えています。割合が大きく増えているのは東京、大阪、愛知などで、大きく減っているのは北海道、長崎、新潟などです。ちなみに京都は1.8%から1.9%、滋賀は1.0%から1.2%とほとんど変わっていません。

 この変化から、日本の出産育児が「生まれ育った地域(地方部)で祖父母や親戚や友人に囲まれて自分も子どもを生み育てる」というあり方から「生まれ育った地域(地方部)を離れて大都市部に移住し自分たち(つまり夫婦)だけで子どもを生み育てる」というあり方にシフトしていることが読み取れます。今後、育児支援を考える上で地域差に注目していきたいと思っています。

 

(エコチル調査京都サブユニットセンター 研究員/加藤 承彦)

 

2023年9月22日 更新